蒸し暑い午後 昼間っから大ぶりのコブレットに氷を入れ レモンを絞り
カンパリとソーダを注ぎ込み 片手で開くのがこの本
デュラスのLes petits chevaux de Tarquinia タルキニアの子馬
カンパリの存在を初めて知ったのはこの本によってだったし
今の季節 現実の暑さが本の中の暑さと自然に溶け合って
臨場感を味わえるから好きだ
朝８時過ぎには牛乳が酸っぱくなってしまうような 強烈な暑さの殺風景な海辺の村
よりによってそんな暑い場所を何故選ぶのか不可解だが
二組の夫婦と周辺の人々の 別に何が起こるでもないアンニュイなヴァカンスの日々
彼らは暑さの中で退屈しきって何もせず ビターカンパリばかり飲んでいる
あとは貽貝（ムール貝）のスパゲティを食べるとか食べないとか そんな話ばかり
結婚にも人生にも退屈しきっているように・・
小さな諍いや情事はあるが 結局は何も起こらないし 何も変わらない
結局彼等は 「タルキニアの子馬」を見に行ったのだろうか・・
ほろ苦いビターカンパリ
その苦さが人生の何かを象徴しているのか
それとも非日常に憧れても果たせない苦さなのか 刺激なのか
そんなことを考えながら 読むというよりは風景を眺めるようにページを繰っていく
私のカンパリソーダも２杯 ３杯
地中海の海辺の村にも行けない でも暑くて長い夏の日の午後
2001/8/16
