どうしてそんなものを着ているの？
彼はひっそりと言う
そんなものは要らないのだよ
彼女はひっそりと微笑む
そうかもしれない
でも鎧の中に流れる血を見せたくないのよ
という言葉を静かに飲み込む
まるで愛しているかのように彼女を見つめる彼の
傍に置かれた鋭い剣を眺めて 彼女は眼を閉じる
それは殆ど 陶酔に似ている
そして夢にみている
それだけが 彼女の銀の鎧をいとも簡単に
繰り返し
繰り返し
繰り返し
刺し貫くことができるのを
知っているから
