２７日午後２時過ぎ　ランカスターの駅です ようやくここまで来るのに紆余曲折　大変な思いをして・・というのが正直なところ 　何しろ英国での単独行動　電車に乗るのも初めてだったし　間違ったらどうしようと緊張を強いられた ロンドンで地下鉄が止ったりしたらイヤだし　とホテル近くでタクシーを拾ったのが間違いのもと 日曜　それも連休中日の日曜とあって遊びに行く人がどっと繰リ出したのか　市内はものすごい渋滞 時間はたっぷり余裕をとっておいたが　これじゃあ乗り遅れてしまうかも・・と不安になったほどだ あげく遠回りして料金はかさむし　初めから地下鉄に乗っていればよかった・・・・ ユーストン駅にようやく到着　切符を買うだんになってまたまた仰天 キースりーまでの料金がなんと72£だという な　72ポンドといえばあなた　16000円以上ではないか 別に新幹線でもないのに！ せいぜい5.6千円かなと思っていたのだが・・・ 英国の運賃がこんなに高いとは知らなかった・・・・
ロンドンの電車は発車間際にならないとどこのホームから出るのかわからない ようやく電光掲示板にランカスター行きのホームが示され　列車に乗り込むも殆どの座席の上に紙が差してある これは予約済の指定座席ということで（指定席車両というものは無い）　指定を取らなかった私は紙のない座席をようやくさがして座ることが出来た　ということで満席状態 列車は古くてあまりきれいともいえず　何故か殆どの座席が進行方向の逆を向いている おまけに最初の1時間半のあいだに3度も臨時停車をした　(ー"ー ) そのたび車内放送があって何か謝っているらしい・・・くらいしかわからないのが情けない そういう時言葉がわからないとほんと　不安になってしまう 英国の電車はよく止るとは聞いていたけど　ともかく時間通りハワースに着けることを祈るばかり それでも後半挽回したのか殆ど遅れもなくランカスターに到着した とはいえ　ここでの接続が悪く2時間近くキースりー行きの電車を待たされる ああ時間がもったいない・・・
			ようやく来たキースりー行きはさらにボロい列車で止るとき悲鳴のような音をたてる う〜むこれで16000円ってなんなんだ・・と腹を立てつつ　それでも無事に予定通りキースりーにたどり着くことが出来た ここまで来ればハワースはもう近い♪ 夏休み中なので　どうやら蒸気機関車が運行されているようだ 案内にしたがって構内を進むと　キースリー＆ワース・バレー保存鉄道の専用ホームに出る ガラリと雰囲気が変って　昔風の列車に合う少しレトロな感じのこぢんまりしたプラットフォーム 湖水地方で乗ったハヴァースウェイト鉄道の駅と同じだ
キースリー＆ワース・バレー鉄道は英国にいくつか走っている蒸気機関車の保存鉄道のひとつ キースりー/オクセンホープを６つの駅　25分で結ぶ 運行されるのは週末と学校の休日 したがって7月8月は毎日運行されている（夜間は運行無し） この鉄道は1962年に廃線になったのだがその後保存グループが作られ 1968年に運転を再開したのだという けっこうきつい勾配もある路線だがのんびりとした雰囲気に心なごむ いつでもカメラを構えた観光客に人気なのはもちろんだが　地元の人にとっても貴重な足になっているそうだ 駅の売店では日本でもお馴染みの「機関車トーマス」グッズなども売っていて楽しい このキースリー駅からはセトル・カーライル鉄道も出ている 何でも素晴らしく景色の美しい路線だそうで　今回は乗れなくて残念
			ロンドンを出てから苦節6時間半 いよいよハワースに向けて出発 切符は中で買うようにとのことで車掌さん（陽気な感じのおじいさん）が来たので買おうとしたら　それより機関車を写すならこの先がいいスポットだから早く写真を撮りなさいと窓辺に連れていかれた 窓から顔を出すと上り坂のほどよいカーブ なるほど撮影には最適だ♪ ほんとにねえ　英国へ来てふつうに機関車に乗れるなんて・・ 日本でも一部には観光用に残っているようだけど　もう何十年もお目にかかったことが無い もっとも日本のはもっと大型で精悍な感じの機関車だった気がするが 英国のは小型で可愛らしいのでもろに「トーマス」にオーバーラップする
そしてついに来ました！ あれほど来たかったハワース！ もうすっかりお馴染みになったスタイルの可愛い小さな駅 ここでもたくさんの花が迎えてくれた ああようやく来られた・・・・トラブルもあったし　もしかしてたどり着けなかったらどうしようと思っていたけれど　無事に到着できて感謝感謝♪ ブロンテ姉妹がいなかったら　多分今では存在しなかったかもしれない小さな町　ハワース エミリーの「嵐が丘」　シャーロットの「ジェーン・エア」 ファンは世界中にいて　今も当時のままだというムーア（荒野）を見たい　歩きたいと熱望する私みたいな人間もたくさん集まってくるのに違いない 下はハワースの駅と　メインストリート方面とは反対側の道路

			さてとりあえず予約した今夜のお宿へ行かねばならぬ リコンファームをとっておかないと落とされたら困るから　という添乗員のＮさんが昨日のうちに電話をかけてくれ　遅れることを伝えてあるので安心だが・・・ シーズンを外れると飛び込みでもたいていＯＫというほど　ハワースにはＢ＆Ｂや小規模なゲストハウスが多いらしい メインストリートは丘の上にあるのでまず駅を出たら昔なつかしい左上の操車場など眺めながら　いきなり上のような急坂を登り始める かなりの坂で　宿のオーナーがタクシー会社の番号を教えてくれたわけがわかった これでは大きな荷物を持って上がるのは大変だわ・・おまけに雨なんか降ったりしてたら・・ そう　個人旅行の魅力の足を引っ張るのが「荷物」
いちいち大きなスーツケースを引っ張っての移動は考えただけで疲れる かといって今さらバックパッカーする体力もねえ・・・ 団体旅行の一番のメリットは荷物運搬の心配をしなくてすむことだ 今日は私も一泊分の小さなカバンを持っているだけだったので平気だったが・・・ 坂を上がり　道路を横切るとメインストリートの入口 メインストリートそのものがまたごらんの通りかなりきつい坂である この町に住む人は運動不足にはなりそうもないかも・・・ カフェやパブ　お土産店などが並ぶ狭いメインストリートは歩いているだけで楽しい気分になるがとりあえず宿　宿 坂のてっぺんに来るとエミリーたちの兄　ブランウェル・ブロンテが通いつめたというパブ「ブラック・ブル」 その向かいにハワースの観光案内所があった 聞いてみるとそこから3分　すぐ近くだという

			案内所の向こう側に少し下って道路を渡ったところに今夜の宿「アッシュマウント・ゲストハウス」があった 英国のＢ＆Ｂなどは旅行会社を通さず　ネットを通じて直接探すことも出来るのだ ツアー会社に最初頼んだのだが高いし　何とか自力で探し出したのがここ ＨＰに申し込み用のフォームがついていたので書き込みが楽だった ここはすぐ返答のメールが来てクレジットカードナンバーを聞かれ（英国での予約には必須みたい）　予約成立 ＨＰでだいたいの環境や雰囲気がわかるし　本当に便利だ 19世紀の建物を改装したというゲストハウス　ご覧のように重厚な造り もとはブロンテ一家に縁のある医師の家だったそうな 花いっぱいの庭も美しい （ちなみに泊ったのは下の電気がついた部屋デス）
案内された部屋はパステル調でまとめられた清潔で気持ちの良い部屋 普通の家にあるような鏡台もいい感じ♪ 窓からの眺めも抜群 2階だが　高い場所に建っているので遠くムーアまで見渡せる この時点ですでに6時頃だったが幸いまだまだ英国の夏の日は長く　日が沈むまでにはまだ間がある とはいえ大幅に当初の予定が遅くなってしまったことだし　時間がもったいない 少しでも見ておこうとさっそく出かけることにした 階段を降りると踊り場のきれいなガラス窓が遅い日を受けてやわらかい光を湛えていた

			小さな街のこと　メインストリートからはずれてちょっと歩くと　もう広大な牧草地や草原の広がる　多分昔とあまり変っていないであろう景色の中にいる エミリーやシャーロットの描いた世界　そしてこの地の風 なるほど草原を渡る風は強く　暮れてくるのとあいまって寒いくらいだ 広い空の様子は刻々と変る 青い空に白い雲　そして黒い雲がいつも存在する 遠くで霞んで見える丘には多分雨が降っている やがてその雨がこちらへ来ることもある 「Ｆｏｏｔｐａｔｈ」の標識が草原や牧場の中を指している 小道を通って牧場を突っ切って歩く 今までさんざん羊や馬を見たが意外と近づくことができなかったのだが　ここへきてようやく近くから彼等を見ることが出来た♪ 馬ものんびり夏のゆうぐれを楽しんでいるようだ
ヒースの花が咲いているところへ行きたかったのだがかなり歩かなければならないようだったのできょうは断念 明日に延ばすことにする ブロンテ姉妹の博物館ももう終了しているのでこれまた明日来ることに 予定通り早く着いていれば・・とくやしいが今さら言っても始まらない 博物館の看板を眺め　シャーロットの教えていた学校の前を通って町の中心に引き返してきた ブロンテ一家の眠っているパリッシュ教会 姉妹の父　パトリックが牧師をしていた教会でもある 彼等が生きていた時代　飲料水などの衛生が劣悪だったため　しばしば病気が蔓延して死ぬ者が多かったという 「ジェーン・エア」の中でジェーンが親友を失うローウッドの学校のエピソードは日常のことだったのだろう ブロンテ一家も殆どが若くして亡くなっている その短い生涯を燃やすように書き上げられた名作が　今も多くの人々を魅了しているのね・・・
			宿では夕食は出ないので何か食べなければ・・・といってもメインストリートの店の殆どは例によってすでにクローズしている （ったく　観光客はたくさんいるというのに・・・） パブは開いているのだが　どうも女性一人では入りにくい雰囲気 でもまあ何か食べられるかなと「ブラック・ブル」に入ってみた けれどやはり食事は6時で終わりとのこと 仕方なくギネスを一杯飲んで出てくることに・・・ 歩きまわるうちにようやく坂の途中で開いているレストランを発見した 建物は古いが中は改装してシンプルモダンな雰囲気 どうやら「創作料理」の店といった趣だった 魚料理が食べたいと言ったら勧められたのが鮭のフィッシュボール オーダーすると運ばれてきたのは丸い揚げ物・・・・ 要するに「鮭のコロッケ」でありました　なるほどフィッシュボールね・・・ そういえば息子が小さい時よく鱈とじゃがいものコロッケを作って美味しかったっけ 魚のコロッケというのは英国ではよく作るのか　「メリー・ポピンズ」の料理レシピにも登場していた 何やらなつかしく　ここでもビールをしっかり飲みつつ美味しくいただいた次第です
食事を終えて外に出ると　薄暗くなった町にはなんとかなり強い雨が降っていた しばらく待っていたけど止まず　仕方なく濡れて宿に帰還 お風呂に入ってほっとする ハードな長い一日でありました 明日は電車の都合で殆ど午前中しか行動時間が無い 博物館を見てムーアを歩いて　できれば3キロ先という「ブロンテの滝」までは行ってみたい 時間があるだろうか・・・・ 外には風のうなりに混じってずっと雨の音も 夜のうちにたくさん降って朝には上がっていますように・・・・ （右はブラック・ブルの店内です）

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